雨宿り

何かにちなんだりちなまなかったり。

読書人より。

良い読書は自己の内面の要求による読書である。

しかし内面の要求に適した本がどれであるかを知るにはある程度の読書体験が必要である。

それゆえその要求に従って多くの本を読めばよい。

その際、その読書に少なからぬ苦痛を感じたらその時はやめることも一つの手である。

書店で目を引く本を見つけたら、その本のことを忘れてしまわないように、買っておくべきである。

読むのをやめたり手を付けていなかったりして本棚に入れたままの本に負い目を感じる必要はない。

よい本とそうでない本を一目で見分ける方法はないのである。

その感じ方は人によるし、同じ人でも時を経れば変わるものだからである。

だから今読む気にならなくとも、時がたてば必要になる本というのも実際存在する。

有名だから価値があるのだろうと思っていろいろな本に手を出すのは危険である。

始から自分の読むことのできる本は限られているし、自己の要求に合致していないからである。

良い読書は自由で、自己中心的なものである。

筆者のためでなく、自己のために、自己のためだけに読書をするのが良い。