雨宿り

何かにちなんだりちなまなかったり。

本が好きで読書が苦手なあなたへ

私の本はタイムカプセルです。

 

本にはいろいろな読み方があります。全集を読むもよし、別々の人やジャンルの本を同時に読むもよし。一字一句慎重に解釈をするもよし、リズミカルに読み進めるもよしです。

私はというと、一冊の本を初めから終わりまで読み切ることは苦手なタイプで、その必要もないと思っています。

たしかに、著者はそんな読み方を望むことはないでしょう。しかし、本を読むのは私なのです。

本は読むべきものです。著者や本に読まされるべきものではありません。

とはいえ、中途半端に読み捨てられた本を見ると、なんだかいたたまれないような、申し訳ないような気持ちになります。

ですから、いつか私がその本を読み切ると信じて、その時を待ちましょう。

随分前に買った本にふと、目が留まり、手にとってページをめくると、全く新しい生命が流れ込んでくる、そんな経験は、ないでしょうか。

私には幾度かあります。本の内容自体は普遍ですが、私たちは無常です。

ですから本を読むという私たちの体験は、日々変化し続けているのです。

タイムカプセルに埋めたものは、それが再び日の目を見るころには全く変わってしまっている。それと同じように、本も変化し、しかるべき時に再び輝きを放つのです。

あの頃あんなに心踊らされたライトノベルはもう読めない。何気なく手に取ったあの本は、思わぬ光彩を見せている。

本はタイムカプセルだ。途中で読めなくなってしまって埋めてしまったタイムカプセルは、掘り出される時を今か今かと待っている。

私たちは、そのタイムカプセルを、最も良いタイミングで掘り出してあげればいいんじゃないでしょうか。