神経病者と物語志向性1
人と異なる考えを持ち、確固とした意思を持って信念を貫く人を、中国のある運動家に倣って神経病と呼ぶことにする。
ここでは名の通った文学者、哲学者は軒並み神経病である。
神経病への対抗としてあらわれるものが文学あるいは哲学である。
解消しえない錯誤、違和感、不条理へのアンチテーゼである。
随ってそうした人たちはその青年時代から大きな神経病を引きずってきたのである。
実際、任意の文学者の作品を取り上げてみると、そこには必ず神経病の実が生っている。
正常な、何の変哲もない、ありきたりな人物は文学も哲学もできない。彼らは神経病を持たないからだ。